多摩感受性セミナー第1回に参加。内容は、Staphyrococcusの感受性の読み方、同定の仕方について。そんなに苦も無く内容について行けたのが何より。青木先生の翻訳のおかげもあったと思うが、一ヶ月半の細菌検査室で勉強をさせてもらっていたのがよかった、と改めて実感。

以下簡単なまとめ。

○ペニシリン系、セフェム系の感受性

PCG、MPIPIC(オキサシリン)、VCMの感受性により分類される。

  メカニズム PCG MPIPC VCM Linezolid
1:Staphyrococcus Penicillinase(-) S S S S
2:MSSA Penicillinase(+) R S S S
3:MRSA PBP2′(プライム) R R S S
4:VRSA Van A R R R S

1:今時珍しいStaphyrococcus。気をつけないと行けないのは、感受性ではPCG:Sと見えても抗菌薬暴露によりPenicillinaseを産生(Induced)し、耐性となるもの。MPIPCの阻止円の再内側の菌を用いてニトロセフィンテストを行う。(βラクタマーゼ産生菌ではオレンジ色になる)。ただそれでも希ながら引っかからないことがあり、遺伝子(blaZ)をPCRで検出することも勧められている。どうしてもPCGで治療したい場合には考慮。

ちなみに自施設ではルーチンでしていないとのことだった。

2:現在主流を占めるStaphyrococcus

3:いわゆるMRSA。PBPは細胞質内でつくられた細胞壁モノマーをポリマーにする酵素。ペニシリン系、セフェム系は、この酵素にくっついて細胞壁合成阻害を起こすわけだが、MRSAでは、PBP2′に変わってしまい結合できなくなってしまう。

4:腸球菌由来のVanA遺伝子を持つもの。現在のところアメリカで5株確認。一旦ブドウ球菌内に定着するとプラスミドを介して広がる可能性あり。

○EM/CLDMに対する感受性

mefA:排出亢進 マクロライドのみR

erm:23SrRNAのメチル化(アデニンをジメチル化)→MLSbの耐性化。(MLSb;Macrolide、Lincosamide、typeB Streptogramin)

EMは メチル化の誘導能がある、一方CLDMは誘導能がない。そのため、EM:R CLDM:Sと見えても、EMで誘導をかけると、CLDMが耐性とわかる(D-test陽性)。そういう株にCLDMを使い続けていると突然変異でermが活性化する恐れあり、使わない方がよい。最近は希釈法でも測定できるようになった。

○尿のS. saprophyticus

抗菌薬感受性検査は勧められない。なぜならSTやキノロンが効くから。

★まとめ

Staphyrococcusの感受性検査薬

PCG、MPIPC、EM/CAM/AZMのどれか、CLDM、ST、VCM+α

 

プロテウスは血液寒天培地上で遊走し、コロニーを形成しない。そのため、他の細菌分離が困難になることがしばしば。特に緑膿菌との混合感染の時は分離が難しい。

理由)プロテウスを遊走しないようにするには、マッコンキー培地など胆汁酸が添加されている培地を使用したり、培地の寒天濃度を上げたりする必要があり。ただ緑膿菌はマッコンキーでも発育が余り良くないため分離に難渋することあり。そのため最初のグラム染色でプロテウスを想定しておくことが大切。

写真を探してみたら、ありました。いつも勉強させていただいているサイトです。

細菌室で研修して思ったこと。検体の質が悪いと、結果もあてにならない、そして技師さんのモチベーションも上がらない。細菌室に検査を出せばすべての微生物が判明・・・しない。MICの数値はそこまで厳密性は無い(誤差あり)。そのほかたくさんの学びを得ることが出来ました。
研修期間は終わりましたが、これからも1日1回は訪問していろいろ勉強しようと心に決めた2012年仕事2日目でした。

 

去った10月9日に開催された感染症学会サテライトセミナーに参加してきました。細菌検査・感受性検査、身体所見、画像、真菌感染症の血清診断、β-Dグルカンについてと、盛りだくさんの内容でした。個人的には以前自分が行っていた仕事と内容が近かったβ-Dグルカンの吸入による自然免疫への作用がとても興味深かったですね。

インタラクティブ形式で進められた群馬大学の佐竹先生の講演『細菌検査成績・薬剤感受性検査成績をどう読むか?』での内容、出題されていた問題をまとめてみます。

一般的に、感受性結果については以下の3つに当てはまる薬剤を報告する。

  1. その菌に対して臨床的に使用される可能性がある場合
  2. 検査方法が標準化されている場合
  3. 同定された菌から感受性を予想できない場合

逆に言えば

1:臨床的に使用される可能性がない(使用してはいけない)薬剤

2:検査方法が標準化されていない薬剤(ex:S. pneuniaeのCefotaximeに対する感受性結果)

3:菌から感受性結果が予想される場合(ex:E.coliならPenicillinは耐性、Penicillin感受性の連鎖球菌はAmpicillinにも感受性、ということで報告されない)

は原則的に報告報告されない。

問題1 尿からVancomycin(VCM)、Ampicillin(ABPC)耐性のEnterococcus faeciumを10^7検出。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。もっとも臨床効果が期待できる抗菌薬は?

1:Ceftriaxone(CTRX) 2:Linezolid 3:Clindamycin(CLDM)

→E.faeciumはセファロスポリン系薬剤に耐性。リンコマイシン系のCLDMも臨床効果は期待できず。

問題2 血液培養でSalomonella typhimuriumが陽性。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。使用してはいけない(臨床効果が期待できない)薬剤は?

1:Cefazolin(CEZ) 2:Ceftriaxone(CTRX) 3:Levofloxacin(LVFX)

→細胞内増殖の要素がある?とされるサルモネラは第1-第2世代の抗菌薬は無効。

問題3 血液培養からESBL陽性のKlebsiella pneumonia検出。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。もっとも臨床効果が期待できる抗菌薬は?

1:Piperacillin(PIPC) 2:Ceftriaxone(CTRX) 3:Imipnem/Cilastatin(IPM/CS)

→extended-spectrum β-lactamaseを産生する菌に確実に効果があるとされる薬剤はカルバペネム系薬剤。細菌増えてますね。自分も痛い目に何度か遭いました。まだCefmetazoleが効くことが多いので助かりますが。

問題4:髄液よりBLNAR(β-lactamase-nonproducing ABPC-resistant H. influenzae)陽性。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。もっとも臨床効果が期待できる抗菌薬は?

1:Ampicillin(ABPC) 2:Cefuroxime 3:Ceftriaxone(CTRX)

→β-ラクタマーゼと無関係に耐性となっており効果が期待できるのは第3世代以上セフェム。PBP3の変異が原因。国内では30-50%前後?欧米ではまれのようです。

(1)耐性遺伝子を持たないABPC感性菌はBLNAS、 (2)β-lactamase産生ABPC耐性菌はBLPAR(TEM-1 型とROB-1 型)、 (3)PBP3変異によるABPC耐性菌はBLNAR(Low-BLNARとBLNAR)、 (4)β-lactamase産生+PBP3変異株はBLPACRとなる。 BLNARでは隔壁合成酵素のPBP3遺伝子(ftsI )上に変異が生じており、 そのうちの3カ所の変異が耐性化に関与しているが、 1カ所のみ変異した株は耐性レベルが低いのでLow-BLNAR、 2カ所に変異を有する株はセフェム系薬の感受性が著しく低下(16~64倍)しているので、 BLNARとして区別される。

インフルエンザ菌性髄膜炎における起炎菌の急速な耐性化とその特徴

以下続く・・・予定。

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