Toleranceとは、最小殺菌濃度(MBC)と最小発育阻止濃度(MIC)が解離しているとのこと。S.aureusやCNS(S.lugdunensis)、Staphyrococcus(肺炎球菌など)で診られることがある。

Tolerance to the Glycopeptides Vancomycin and Teicoplanin in Coagulase-Negative Staphylococci

Glycopeptide tolerance in bacteria causing endocarditis

定義:MBC/MIC ratio of ≥32 or MBC/MIC ratio of ≥16 and MBC of ≥16 μg/ml

Toleranceがある場合はどうなるのか?VCMで治療している間は菌の増殖をおさえて、良くなっている(ように見える)が、やめると増殖して再発してしまう。通常の検査では最小殺菌濃度を測定することはないため、見逃されている可能性も。

MRSAのVCMに対する感受性が悪くなっており、MIC:2では予後が悪かったとの報告もある中で、Toleranceの話は余り耳にしない(自分だけ?)。MIC:2 なら必ず治療失敗するというわけでもなく、そこにはToleranceの問題も関与しているのかも、とふと感じた今日1日。

ちなみにDaptomycinには、Toleranceは診られなかったとの報告あり。

Inhibitory and bactericidal activities of daptomycin, vancomycin, and teicoplanin against methicillin-resistant Staphylococcus aureus isolates collected from 1985 to 2007.

 

プロテウスは血液寒天培地上で遊走し、コロニーを形成しない。そのため、他の細菌分離が困難になることがしばしば。特に緑膿菌との混合感染の時は分離が難しい。

理由)プロテウスを遊走しないようにするには、マッコンキー培地など胆汁酸が添加されている培地を使用したり、培地の寒天濃度を上げたりする必要があり。ただ緑膿菌はマッコンキーでも発育が余り良くないため分離に難渋することあり。そのため最初のグラム染色でプロテウスを想定しておくことが大切。

写真を探してみたら、ありました。いつも勉強させていただいているサイトです。

細菌室で研修して思ったこと。検体の質が悪いと、結果もあてにならない、そして技師さんのモチベーションも上がらない。細菌室に検査を出せばすべての微生物が判明・・・しない。MICの数値はそこまで厳密性は無い(誤差あり)。そのほかたくさんの学びを得ることが出来ました。
研修期間は終わりましたが、これからも1日1回は訪問していろいろ勉強しようと心に決めた2012年仕事2日目でした。

 

先週参加した呼吸器学会九州地方会で見つけた雑誌、肺がん薬物両方Q&A 臨床現場での考え方

肺がん薬物療法における標準的治療から,ガイドライン通りにならないケースの対処法と考えかたまでを第一線の医師がQ&A形式でわかりやすく解説.化学療法における疑問,分子標的治療薬の使い方,合併症がある場合の治療の実際,副作用対策などについて,臨床現場で実際に困る内容が満載されていて現場ですぐに役立つ頼りになる一冊.

とHPにかかれていますが、実際臨床現場で悩むことを一問一答形式で取り上げ解説しています。Evidence basedなのかExperience basedなのかも記載されていて自分にとってはかゆいところに手の届く内容です。

ということでちょうど投与開始の予定があるEGFR-TKI (Gefitinib, Erlotinib) についての覚え書き。

【イレッサとタルセバの違いなど】

  • イレッサとタルセバの最大の違い用量の違い(イレッサは低用量でタルセバは高用量)。イレッサのMTDは700mg/day(実際使用量は250mg/day)だがタルセバのMTD=実際使用量=150mg/dayでありタルセバの方が量が多いと言うことになる。
  • そのためタルセバでは用量依存性の毒性(皮疹、食思不振、疲労や無力感)の頻度や程度が増える傾向となる。一方急性肺障害・間質性肺炎は容量非依存性に生じるためイレッサもタルセバも同程度と考えられる。
  • 抗腫瘍効果は容量の多いタルセバもイレッサも同程度、すなわちイレッサやタルセバの効果は、少なくとも臨床的に使用される量においては用量依存的ではない=用量を増やしても効果はあまり変わらない。(基礎実験ではEGFR遺伝子変異陽性の腫瘍には低容量でも劇的な効果がみられるが遺伝子変異陰性の場合にはMTDでも抗腫瘍効果が乏しいという結果がある)各種臨床試験の結果もある。
  • EGFR-TKIについてはどのタイミングで使うかが問題となってくる。

【下痢や肝障害】

  • NCI-CTC grade2までは治療可能で対処療法。Grade3では治療休止。再開時には減量投与も検討。Grade4や減量でもGrade3となる場合は中止。
  • 下痢に対しては腸管安静・整腸剤や止痢薬などによる対処療法。イレッサの臨床試験では下痢症状が発現すれば排便後ごとのロペラミド投与でおおよそコントロール可能とされた。下痢が起こればすぐに薬物による対処可能としておく。
  • 肝機能障害はタルセバで31%、イレッサで21.6%の出現(第2層試験結果)。発現時期は28日以降の報告が多く長期継続後に発現することもあり、投与継続中には1-2ヶ月に1回の肝機能検査実施が必要。イレッサでは体表面積1.5㎡以下の症例では肝機能障害の頻度が高くより重篤な傾向があるとの報告有り。休止後に通常投与量で再開しても悪化しない症例もあり肝障害を認めても減量を要しないことも多い。
  • 副作用時の休止は14日程度を限界に休薬しても効果が持続することが期待。
  • イレッサは半減期が長く、抗腫瘍効果が用量依存性ではないこと、第1相試験で50mg/dayから臨床効果が認められることから隔日投与でも効果が得られる可能性が示唆される。

【検査とそのタイミング】

  • 急性肺障害・間質性肺炎はその約半数が治療開始後1ヶ月以内に発生。
  • 頻度の多い有害事象は発疹・皮膚乾燥・爪囲炎、下痢、肝障害。これらは休薬で通常軽快。やはり肺炎には要注意。通常骨髄抑制は来さない。

【EGFR-TKIをやめるタイミング】

  • 効果が認められなくなったとき=PDとなったとき。ただPDをすぐやめるかしばらく続けるかには一部議論が残る。
  • EGFR-TKI耐性獲得遺伝子異常としてEGFR-TKIが結合するEGFRチロシンキナーゼ部位のT790M変異(結合できなくなる)が約半数にみられる。MET遺伝子増幅による異常(増殖シグナルがMETを介するようになるためEGFRを抑制しても増殖シグナルを押さえることができなくなる)は約20%

これらの薬剤を投与するかどうかはEGFR遺伝子変異があるかどうかで大きく変わってきます。そのためその検査を施行できるか、その結果は信頼に足るものなのかをどう判断するかが今後問題となってくると思います。

 

去った10月9日に開催された感染症学会サテライトセミナーに参加してきました。細菌検査・感受性検査、身体所見、画像、真菌感染症の血清診断、β-Dグルカンについてと、盛りだくさんの内容でした。個人的には以前自分が行っていた仕事と内容が近かったβ-Dグルカンの吸入による自然免疫への作用がとても興味深かったですね。

インタラクティブ形式で進められた群馬大学の佐竹先生の講演『細菌検査成績・薬剤感受性検査成績をどう読むか?』での内容、出題されていた問題をまとめてみます。

一般的に、感受性結果については以下の3つに当てはまる薬剤を報告する。

  1. その菌に対して臨床的に使用される可能性がある場合
  2. 検査方法が標準化されている場合
  3. 同定された菌から感受性を予想できない場合

逆に言えば

1:臨床的に使用される可能性がない(使用してはいけない)薬剤

2:検査方法が標準化されていない薬剤(ex:S. pneuniaeのCefotaximeに対する感受性結果)

3:菌から感受性結果が予想される場合(ex:E.coliならPenicillinは耐性、Penicillin感受性の連鎖球菌はAmpicillinにも感受性、ということで報告されない)

は原則的に報告報告されない。

問題1 尿からVancomycin(VCM)、Ampicillin(ABPC)耐性のEnterococcus faeciumを10^7検出。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。もっとも臨床効果が期待できる抗菌薬は?

1:Ceftriaxone(CTRX) 2:Linezolid 3:Clindamycin(CLDM)

→E.faeciumはセファロスポリン系薬剤に耐性。リンコマイシン系のCLDMも臨床効果は期待できず。

問題2 血液培養でSalomonella typhimuriumが陽性。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。使用してはいけない(臨床効果が期待できない)薬剤は?

1:Cefazolin(CEZ) 2:Ceftriaxone(CTRX) 3:Levofloxacin(LVFX)

→細胞内増殖の要素がある?とされるサルモネラは第1-第2世代の抗菌薬は無効。

問題3 血液培養からESBL陽性のKlebsiella pneumonia検出。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。もっとも臨床効果が期待できる抗菌薬は?

1:Piperacillin(PIPC) 2:Ceftriaxone(CTRX) 3:Imipnem/Cilastatin(IPM/CS)

→extended-spectrum β-lactamaseを産生する菌に確実に効果があるとされる薬剤はカルバペネム系薬剤。細菌増えてますね。自分も痛い目に何度か遭いました。まだCefmetazoleが効くことが多いので助かりますが。

問題4:髄液よりBLNAR(β-lactamase-nonproducing ABPC-resistant H. influenzae)陽性。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。もっとも臨床効果が期待できる抗菌薬は?

1:Ampicillin(ABPC) 2:Cefuroxime 3:Ceftriaxone(CTRX)

→β-ラクタマーゼと無関係に耐性となっており効果が期待できるのは第3世代以上セフェム。PBP3の変異が原因。国内では30-50%前後?欧米ではまれのようです。

(1)耐性遺伝子を持たないABPC感性菌はBLNAS、 (2)β-lactamase産生ABPC耐性菌はBLPAR(TEM-1 型とROB-1 型)、 (3)PBP3変異によるABPC耐性菌はBLNAR(Low-BLNARとBLNAR)、 (4)β-lactamase産生+PBP3変異株はBLPACRとなる。 BLNARでは隔壁合成酵素のPBP3遺伝子(ftsI )上に変異が生じており、 そのうちの3カ所の変異が耐性化に関与しているが、 1カ所のみ変異した株は耐性レベルが低いのでLow-BLNAR、 2カ所に変異を有する株はセフェム系薬の感受性が著しく低下(16~64倍)しているので、 BLNARとして区別される。

インフルエンザ菌性髄膜炎における起炎菌の急速な耐性化とその特徴

以下続く・・・予定。

 

今日はタミフル耐性機序についてのお勉強。

 

Oseltamivir resistance–disabling our influenza defenses.     N Engl J Med. 2005 Dec 22;353(25):2633-6

Neuraminidase inhibitorであるOseltamivir(タミフル)やzanamivir(リレンザ)ではウイルス細胞表面のノイラミニダーゼに結合する。

E276がrotateしてR224と結合しポケットを形成することで、Oseltamivirが結合できるようになる。ノイラミニダーゼ蛋白の275番目のアミノ酸がヒスチジンからチロシンに置換(H275Y)するとポケット形成が妨げられOseltamivir耐性となる。(各種論文ではH274Yの表記をしているが、これは、H3N2亜型ウイルスのNA蛋白質のアミノ酸番号をもとにした表記法(N2表記法)であり、H1N1のNA蛋白質の場合は、耐性マーカーのアミノ酸番号はメチオニンから数えて275番目となる。よって、本文では耐性マーカーのアミノ酸番号をH275Yで統一する。#1)

zanamivirが結合する際にはポケット生成は不要なため耐性とはならない。

#1:<速報>2008/09インフルエンザシーズンにおけるインフルエンザ(A/H1N1)オセルタミビル耐性株(H275Y*)の国内発生状況 [第2報] http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3503.html

resistance 

アニメーション版

amime

結合する部位の構造が変わるということですね。リレンザは耐性にならないというのがおもしろいですね。昨年流行した季節性H1N1はかなり耐性だったようですが・・・さて、今年は?

そろそろ予防接種の話も出てきています。いろいろうるさい基準もあるようですが・・・数を準備できなかったのかなぁ・・・接種基準でもめると思うんだけど。

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