去った10月9日に開催された感染症学会サテライトセミナーに参加してきました。細菌検査・感受性検査、身体所見、画像、真菌感染症の血清診断、β-Dグルカンについてと、盛りだくさんの内容でした。個人的には以前自分が行っていた仕事と内容が近かったβ-Dグルカンの吸入による自然免疫への作用がとても興味深かったですね。

インタラクティブ形式で進められた群馬大学の佐竹先生の講演『細菌検査成績・薬剤感受性検査成績をどう読むか?』での内容、出題されていた問題をまとめてみます。

一般的に、感受性結果については以下の3つに当てはまる薬剤を報告する。

  1. その菌に対して臨床的に使用される可能性がある場合
  2. 検査方法が標準化されている場合
  3. 同定された菌から感受性を予想できない場合

逆に言えば

1:臨床的に使用される可能性がない(使用してはいけない)薬剤

2:検査方法が標準化されていない薬剤(ex:S. pneuniaeのCefotaximeに対する感受性結果)

3:菌から感受性結果が予想される場合(ex:E.coliならPenicillinは耐性、Penicillin感受性の連鎖球菌はAmpicillinにも感受性、ということで報告されない)

は原則的に報告報告されない。

問題1 尿からVancomycin(VCM)、Ampicillin(ABPC)耐性のEnterococcus faeciumを10^7検出。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。もっとも臨床効果が期待できる抗菌薬は?

1:Ceftriaxone(CTRX) 2:Linezolid 3:Clindamycin(CLDM)

→E.faeciumはセファロスポリン系薬剤に耐性。リンコマイシン系のCLDMも臨床効果は期待できず。

問題2 血液培養でSalomonella typhimuriumが陽性。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。使用してはいけない(臨床効果が期待できない)薬剤は?

1:Cefazolin(CEZ) 2:Ceftriaxone(CTRX) 3:Levofloxacin(LVFX)

→細胞内増殖の要素がある?とされるサルモネラは第1-第2世代の抗菌薬は無効。

問題3 血液培養からESBL陽性のKlebsiella pneumonia検出。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。もっとも臨床効果が期待できる抗菌薬は?

1:Piperacillin(PIPC) 2:Ceftriaxone(CTRX) 3:Imipnem/Cilastatin(IPM/CS)

→extended-spectrum β-lactamaseを産生する菌に確実に効果があるとされる薬剤はカルバペネム系薬剤。細菌増えてますね。自分も痛い目に何度か遭いました。まだCefmetazoleが効くことが多いので助かりますが。

問題4:髄液よりBLNAR(β-lactamase-nonproducing ABPC-resistant H. influenzae)陽性。以下の薬剤感受性はすべてSensitive。もっとも臨床効果が期待できる抗菌薬は?

1:Ampicillin(ABPC) 2:Cefuroxime 3:Ceftriaxone(CTRX)

→β-ラクタマーゼと無関係に耐性となっており効果が期待できるのは第3世代以上セフェム。PBP3の変異が原因。国内では30-50%前後?欧米ではまれのようです。

(1)耐性遺伝子を持たないABPC感性菌はBLNAS、 (2)β-lactamase産生ABPC耐性菌はBLPAR(TEM-1 型とROB-1 型)、 (3)PBP3変異によるABPC耐性菌はBLNAR(Low-BLNARとBLNAR)、 (4)β-lactamase産生+PBP3変異株はBLPACRとなる。 BLNARでは隔壁合成酵素のPBP3遺伝子(ftsI )上に変異が生じており、 そのうちの3カ所の変異が耐性化に関与しているが、 1カ所のみ変異した株は耐性レベルが低いのでLow-BLNAR、 2カ所に変異を有する株はセフェム系薬の感受性が著しく低下(16~64倍)しているので、 BLNARとして区別される。

インフルエンザ菌性髄膜炎における起炎菌の急速な耐性化とその特徴

以下続く・・・予定。

© 2012 今日のいちにち 明日へのいちにち Suffusion theme by Sayontan Sinha